わかりやすいと好評のプリントはこちら!!
情報技術により身の回りの支払い方法がどのように変化しているのかを考えよう
電子マネーとは,電子的なデータのやり取りによって現金の代わりに決済できるサービスのことを指す.電子マネーは日本銀行が発行する貨幣ではなく,利用範囲などは,発行元である企業やサービス加盟店によって異なる.
電子マネーの例
- プリペイド
- ICカード
- センター管理式電子マネー
- デビットカード
- クレジットカード
電子マネーは私たちの生活と密接に関わっており,電車やバス,コンビニエンスストアなどでも使える交通系ICカードなどが挙げられる.また,最近ではQRコード決済などもさまざまな場所で利用できる.
現在のICカードは非接触型のICカードの技術方式を用いたFelicaを利用する方式が普及しており,IC乗車券や電子マネーの他にも学生証や社員証といったIDカードや日用家電品などにも搭載が進んでいる.携帯電話やスマートフォンの機能にあるおサイフケータイにもこんFelicaの技術が使われている.海外に目を向けると,中国や韓国ではキャッシュレス化が進んでおり,近年日本でも普及し始めたQRコード決済が利用されている.
日本ではPayPayなどのサービスが存在し,個人間での送金が手軽にでき,さまざまな店で利用することもでき,インターネットでの決済にも利用ができる.
発展:レジ無し決済の登場
2018年には一部のコンビニで無人決済の実証実験が開始された.アプリで商品をスキャンすることでアプリ内で決済を完了すると言う仕組みだ.スマートフォンが普及し,またカメラやインターネットを気軽に使用できるからこその支払い方法である.海外では,アメリカシアトルにこの方式の一号店がオープンした.利用するにはサービスを提供する会社のアプリをインストールしておく必要があり,入店次にゲートでQRコードを読み取らせ,欲しい商品を手に携えるか買い物袋にいれ,店舗から出るだけで自動的に会計が行われる仕組みで,たくさんのカメラとセンサ,AIの技術により,レジ無し決済を実現した.
情報技術の発展により働き方はどのように変化してきたのだろう
近年我が国ではスーパーマーケットなどではセルフレジが急速に普及してきており,郊外であっても導入されている店舗が多いため,認知度も上がってきている.これは,人件費を抑えられ,人手不足を解消できるため衣料品の店などでも導入されている.セルフレジには完全セルフレジとセミセルフレジに大きく分類される.セミセルフレジはレジ係の店員がスキャンを担当し,支払いを精算機で行うレジのことで,完全セルフレジとは客が自ら商品のスキャンをし,精算までを行うレジのことである.青果などのバーコードがない商品を多く取り扱う店ではセミセルフレジが,バーコードが大体のものについている店では完全セルフレジが導入されていることが多い.
セミセルフレジは生産をレジ係が行わないため,レジの待ち時間が少なくてすみ,店員や客の支払いの支払い金のズレがあまりなくなると言うメリットがある.降るセルフレジの場合,操作に慣れないと利用が難しいと言うデメリットはあるものの,店員一人当たりが受け持てるレジの数が多くなるため,人件費をさらに抑えられると言うメリットも存在する.
発展:スマート農業
平成30年度食糧・農業・農村白書によると,農業の担い手の減少,農業就業者の高齢化が急速に進行しており,2017年時点での農業就業人口は181.6万人で,平均年齢は66.7歳でそのうちの6割以上をを65歳以上が占める.そこで農林水産省ではIoTや人工知能といった最先端技術を農業に活かした「スマート農業」を実現するために,「スマート農業の実現に向けた研究会」を設置し,検討や実験を行っている.現時点では「超省力,大規模生産の実現」「作物の能力を最大限に発揮」「きつい作業や危険な作業からの解放」「誰もが取り組みやすい農業を実現」「消費者需要者に安心と安全を提供」の五つを掲げている.また,2018年には複数のメーカーから自動運転トラクターが一般販売された.このトラクターは農林水産省の定める農業機械の安全確保の自動化レベルでいうと,レベル2である.今後ドローンをも小農薬散布などが行われるなど,情報技術の発展により益々農業分野でのICTの活用が期待されている.
発展:ロボティクス
pepperやAIBOといったAIなどを用いたロボットがさまざまな場所に導入されている.厚生労働省は介護の分野に対してもロボット技術を活用すべく,開発や導入を支援している.例えば,リハビリの補助や自立支援を目的としたコミュニケーション型ロボットや移動支援の歩行アシストカートなどが開発されている.また,技術の発展により,介護する側を手助けするパワーアシストスーツなどのセンサーやモーターの細かい動きの制御が可能になり,実用段階に入っているものもある.
情報技術の発展により,生活はどのように変化してきたのだろうか
2000年代後半から「いつでも,どこでも,なんでも,誰でも」ネットワークにつながる「ユビキタスネットワーク社会」は構想されてきたが,パソコンやスマートフォンだけでなくセンサやコンピュータが組み込まれたさまざまな「モノ」が無線通信を介してインターネット接続されるようになり,「モノのネットワーク」つまり,IoT(Internet of Things)というキーワードで表現されるようになった.実際にインターネットを通してスマートフォンから照明をコントロールしたり,プリンターでプリントを印刷したりすることができるのがその例で,そのような家電は続々登場している.
データ収集と利用
多種多様な分野において,モノがインターネットに接続できるようになり,膨大なデータの収集が可能となった.これらのデータを統計学や言語学といった科学的手法を用いて分析することによりさまざまなことがわかるようになった.これらのデータを利用してデータの相互関係や有用な知見を見出すことをデータマイニングという.例えば,ポイントカードによる購買記録や交通系ICカードによる行動履歴のデータを収集することによりマーケティングに活かす,といったような取り組みがすでに行われている.だが,このようなデータ収集には第三回でも述べたように個人情報にあたるので,個人を特定できないようにし,匿名加工をして活用をする必要がある.
人工知能
昨今AIという言葉を耳にする機会は多くなり,ChatGPTなど無料で利用できるものがあり,身近に感じることも多くなってきた.ニューラルネットワークという人間の脳の中身を再現したようなモデルを用いた学習が盛んに行われ,人間とある程度会話することが可能になっているモノが多数存在し,AppleなどのSiriやGoogleのGoogle Assistantなどがその代表例である.また,警備会社などでは動画の分析をAIがし,警備員にメールなどで通達するシステムを利用している例も存在する.
ユニバーサルデザイン
社会生活を送る上で,身体的,心理的,その他さまざまな理由によりさまざまな場面で困難を感じる人がいる.このような人たちの障壁となっているものを取り除こうという考え方からスタートしたのがバリアフリーである.車椅子利用者向けの階段横スロープや,視覚障害者向けのマイナンバーカードの裏面の点字などがある.一方,ユニバーサルデザインとは別の概念で,障害や年齢,性別人種に関わらず,全ての人にとって生活しやすい環境を実現するための工夫を指す.例えば,シャンプーボトルについている突起は,目をつむっている状態であってもリンスのボトルとの区別ができる.これは視覚障害者だけでなく,あらゆる人にとって使いやすいという点でユニバーサルデザインの代表例である.現代社会においては「たくさんの人が利用できるように施設や設備,機械を工夫する」ことが求められており,AIや情報技術の発展により,バリアフリーやユニバーサルデザインの環境が広がっている.
コメント