第三回情報に関する決まり事

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情報に関する決まりについて今回は学習します

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知的財産について知ろう

知的財産権とは,「人間の幅広い知的創作活動の成果についてその制作者に一定期間の権利保護」を与えるようにした制度である.知的財産権は申請の必要な産業に関する産業財産権と,申請の必要がない文化や芸術に関する著作権とに大きく分けられる.

社会が情報化した昨今デジタル化した映像や音楽,イラストなどの多くの著作物を手軽に閲覧したり,複製できるようになった.その反面,知らぬ間に著作権を侵害してしまわないように著作権に対する理解を深め,著作物を守り,制作者の権利を尊重することが必要とされる.

著作権法について数年に一度の改正がされており,文化庁のサイトにて最新の情報を確認できる.また,公益社団法人著作権情報センターでも著作権に関するQ&Aを公開しているので,このようなサイトを活用し,著作物の取り扱いに困った時には参考にしよう.

特許権,実用新案権,意匠権,商標権を総称して産業財産権といい,新たな技術やデザインなどに対して独占的に使用できる権利を与え,他者に模倣されないように保護されている.これらの権利は特許庁に出願することにより承認を得た場合に権利が発生する.

個人情報について理解を深めよう

個人情報とは,「生存する個人に関する情報であって,指名生年月日その他の記述などによって特定の個人を識別できるもの,また個人識別符号の含まれるもの」である.簡潔に言えば「個人を特定できる情報」のことである.個人情報の例としては,マイナンバーやパスポート番号などの個人識別符号,DNAや指紋,声紋などが挙げられる.

個人情報の歴史

19世紀末に米国の法律家であるサミュエル・D・ウォーレンス,ルイス・D・ブランダンスが「プライバシーの権利」を主張したことに始まる.当時米国では,大衆紙が個人の私生活を暴く記事をたくさん掲載していたこともあった.その後,プライバシーの権利は人権の一部として捉えられるようになり保護されるようになっていった.現代の個人情報の取り扱いの基礎となっているのは1967年のコロンビア大学アランウェスティン博士が「自己に関する情報をコントロールする権利」として著書で述べた物であるとされる.また,近年コンピュータで個人情報を扱うようになり,ヨーロッパ各国では個人データの処理を適切にするための法整備を検討するようになった.OECDでは,「プライバシー保護と個人データの国試流通についてのガイドライン」を理事会によるプライバシーの勧告として公表している.これはOECDのプライバシー8原則と言われ,「収集制限」「データ内容」「目的明確化」「利用制限」「安全保護」「公開」「個人参加」「責任」の原則がそれぞれ含まれる.

日本でもこの原則を考慮し法整備が行われ,2003年に個人情報保護法が成立し,2005年に全面施行された.2015年以降3年ごとの見直し規定が設けられ,3年ごとに見直しが行われていく予定である.

個人情報を取り扱う上で留意すること

企業や行政機関などは個人情報保護法により個人情報の取り扱いが義務つけられており,それに反した場合の罰則規定も存在する.また,私たちは個人情報を持つ企業や行政機関に対して開示,訂正,利用停止などを求めることができる権利が認められており,これらの権利により自らの個人情報を適切に保つことが必要である.

ただ,個人情報は企業や行政などだけが扱う物ではなく,SNSなどに投稿することによっても扱われる物であり,自分の情報を適切な範囲で公開したり,あるいは非公開にするなど影響を考えて適切に管理する必要がある.また,自分だけではなく,周りの人たちが自分を含めた個人情報を公開している可能性があるので留意しなければならない.例えば動画内のアナウンスや写真の位置情報などが挙げられる.SNSでの不適切な投稿に対する社会的制裁は年々加熱しており,前回書いたように,晒し行為などが行われていることがあり,これが問題になっている.これは犯罪となることもあるが,そのような行為をされないためにも自らの情報を適切に管理する力が必要とされる.また,SNSや一般のアプリなどへの情報提供についても一度考える必要があり,位置情報やカメラへのアクセスがそのアプリに本当に必要かどうかなどをきちんと考えてアクセスを許亜するかどうかを決める必要がある.

個人情報の扱いについて考えよう

個人情報は自分でコントロールしていく物であるため当然ながら個人データを勝手に他社へと提供したり,提供されることはあってはならない.グループ会社や子会社への提供であっても第三者への提供にあたり,提供するためには本人の同意が必須である.ただし,法令や緊急時,公衆衛生,児童健全育成や国が法令で定める事務への提供,企業の委託や事業継承,共同利用の場合には本人の同意を得なくても個人情報を提供することができる.

個人情報保護法の改正に伴い,2015年の改正ではパーソナルデータの利活用を促進するために,本人の同意なくデータ加工を施した情報のことを匿名加工情報として新たに定義しており,これはこの情報を復元しようとしても個人を特定できないというような加工をした物である.

これを活用することにより公共機関を使用している年齢層や時間帯を取得することが可能となり,この情報を用いることによりさまざまなものに活用できる.ICの利用記録を調べることで混雑が起こりやすい時間帯を判別したり,交通渋滞を回避したルートの提案などが挙げられる.

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