まとめ:情報に関する規則・モラル

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知的財産権とは何だろうか

知的財産権:創作物を作った人に対して一定期間の権利保護を与える制度

知的財産権には申請が必要で,産業に関連する産業財産権と申請が必要なく,文化や芸術に関する著作権とに分けられる.情報化社会においてさまざまな場面で映像,音楽,イラストや写真,文章など多くの著作物が手軽に利用できるようになった一方で,著作権について理解していないと著作権法に抵触し,違法行為をしてしまう可能性があるので,しっかりと著作権について知らなければならない.著作権法は数年に一度の頻度で改正されており,文化庁のサイトや公益社団法人著作権情報センターでもQ&Aなどを公開しているので,これらのサイトを定期的に閲覧し,著作権に関する最新の情報を確認すべきである.

特許権,実用新案権,意匠権,商標権を総称して産業財産権といい,新たな技術,デザインなどに対して独占的に使用できる権利が与えられ,模倣されないように保護される.これらは特許庁に出願し,登録することにより権利が発生する.また,商標権については権利の性質上更新が可能である.身近なスマートフォンやパソコン,タブレット端末などにたくさんの産業財産権が関係している.

個人情報について知ろう

個人情報:生きている個人に関する情報のうち,個人を特定できる情報のこと

              例:マイナンバーカード,パスポート番号,氏名,DNAなど

個人情報保護に関する法律

我が国では,2003年に成立した「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)により個人情報が保護されている.

個人情報の歴史的経緯

19世紀末のアメリカでは新聞が勃興期であり,個人の生活を暴くジャーナリズムが過激であった.それに対してサミュエル・D・ウォーレンスとルイス・D・ブランダイスが私生活をみだりに他人の目に晒されない権利として,「プライバシーの権利」を主張し,現在ではこの権利は人権の一部としても捉えられており,保護されている.

現在の個人情報の扱いの基本になっているのは1967年のコロンビア大学アランウェスティン博士が著書の中で述べた「自己に関する情報をコントロールする権利」である.近年ではネットワーク上で個人情報を扱うようになったが,ヨーロッパの各国では個人情報の処理を適切にするために法規制を検討するようになった.その中でも,OECD(経済協力開発機構)では,「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドライン」をプライバシーに関する勧告として発表した.これはOECDプライバシー8原則と呼ばれ,収集制限の原則,データ内容の原則,目的明確化の原則,利用制限の原則,安全保護の原則,公開の原則,個人参加の原則,責任の原則からなる.

日本ではこの勧告を受け,法整備が行われ,2003年には個人情報保護法が制定され,2005年には全面施行された.また,2015年の改正の際に「3年ごとの見直し規定」が設けられ,今に至っている.

留意点

企業や行政機関は個人情報保護法に定められた個人情報の保護が義務付けられており,違反した場合の罰則規定もある.私たちは個人情報を持つ企業や行政機関について,開示,訂正,利用停止などの請求ができる権利が保障されており,これらによって自身の個人情報を適切にコントロールできる.

SNSなどの発達により,個人間での個人情報の取り扱いや気が付かないところでの個人情報の流出には留意したい.例えば写真を投稿する際に,写真の中に位置が特定できる情報が含まれていないか,や他人の個人情報が写っていないかなどを確認する必要がある.また,情報の公開範囲を指定することも大切であり,設定を誤ると思わぬ場所に情報が伝わり,トラブルが起こる可能性もある.また,情報セキュリティの観点からもアプリの使用やSNSに関してさまざまな施策をする必要がある.

個人情報の取り扱いについて考えよう

個人情報は自分でコントロールしていくものであり,そのデータを第三者に許可なく渡したり,渡されたりすることはあってはならない.ただし,法令や緊急時,国の定める業務などにおいては個人情報の提供が本人の許可を得ずにできることになっている.

また,個人情報保護法の改正に伴い,個人情報を活用するための新たな施策が出された.個人情報を加工し,個人を特定できない形にしたものを匿名加工情報として定義された.この匿名加工情報を用いることにより,事故の起こりやすい場所や渋滞の発生しやすい箇所などをある程度予測できるようになったり,ポイントカードの購買行動やICカードの乗降記録などから複数の企業間でさまざまな新たなサービスが生まれたりすることが望まれている.例えば,医療機関が所有する個人情報を匿名加工情報として用い,似ている症状やある症状の前兆を発見することができる.

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